元気でキビキビ動いていた愛犬も、いつかは老犬になってきます。
あれほどヤンチャだったのに、ずいぶん手がかからない大人しい犬になっちゃって…
寂しい気持ちになりますが、老犬になって介護が必要になってくることは深い絆を結ぶため、神様がくれた最後のプレゼントかもしれませんね。
年を重ね、老犬になってくると、次のような違いが出てきます。
また、老犬は外見の変化も見られるようになります。
しかし、たとえ高齢になってきても、飼い主さんのケア次第で長生きすることができます。
これまで以上に愛情を注ぎ、少しでも健やかな老犬期を過ごせるようにしてあげましょう。
老犬になってくると、足腰が弱って力が入らなくなってきます。それまで簡単に飛ぶことができていた高さも飛べなくなり、1日の中でも寝ていることが多くなってきます。
それでも、外の空気を吸い脳に刺激を与える散歩は大切です。短い時間でもいいですから、犬の状態を見ながら、できるだけ毎日散歩に連れて行くようにしましょう。
散歩は、まだ老犬にならないうちからでも認知症予防になります。
また、歳をとったせいだと思っていても、慢性の関節炎に罹っていることもあります。関節炎はお薬で痛みを取ることができますので、階段を登るのを嫌がる・高い場所の登り降りをしなくなった時は、1回獣医さんに診てもらいましょう。
老犬になってくると、これまでのように食べることができなくなってきます。
歯が弱ってきたり、食欲の変化が起きてくるため、フードを変えたり、時には介助する必要が出てきます。
ドライフードもお湯でふやかすなどして、食べやすく消化しやすくする工夫をしましょう。
また、老犬になると首の筋力が弱まり、下を向いて食べるのがつらく飲み込めなくなってきます。
これまで食器を下に置いていた場合は、台を用意して上に置いてあげる、ちょっと角度をつけてあげるなど工夫をしてみましょう。それだけでもだいぶ食べやすくなるでしょう。
さらに老犬になると、消化する力も弱ってきます。
今までより下痢しやすくなったり、逆に腸が働かず便秘になることが往々にしてあります。食欲が急激に落ちた時、食べた後の嘔吐や便秘、下痢が以前より増えてきたと感じる時は、主治医の獣医さんに早めに相談をしましょう。
食事内容を変えることが必要だったり、他に病気が隠されていることがあるからです。
老犬になってくると、トイレを失敗することも出てきます。
足腰が弱って間に合わない、泌尿器系の病気で頻尿になる、など原因は様々です。
決して叱らないでください。
まだ元気なうちに、トイレで成功するとご褒美、のトレーニングを復活させて、嬉々として早めにトイレに向かう老犬もいるそうですよ。
加齢により体力が衰えてくる愛犬が過ごしやすいように、家の中のレイアウトを見直してみましょう。
主なチェックポイントは次の通りです。
愛犬が過ごしやすい部屋は、飼い主さんにとってもストレスがなく安心できるレイアウトです。
お互いに過ごしやすく暮らせるように、工夫をしてみましょう。
しつけは若い時と思いがちですが、老犬になってからも、もちろん刺激が必要です!
認知症の予防のためにも取り入れてみませんか。
ジグザグ歩き(公園などにあるポールや、駐車場の車止めの間を歩きます)
後ろ向き歩き(狭い場所で向き合います。人が前に進むと、犬は後ろ向きに歩くことになります)
ゆっくり歩く(普通に歩くスピードよりもバランス感覚が必要になり、四肢にかかる重心の偏りを正す助けになります)
などで、老犬の弱ってくる後ろ足の筋肉に意識を向けさせる脳を刺激します。
「普段、あまり時間がないの!」という方。
肉球に当たる感触を変えることも脳に刺激を与えますよ。アスファルトだけではなく土・草・砂利道などいろいろな素材の上を歩かせ、その感触の違いで脳を活性化させるのもよいでしょう。
認知症予防についてもっと詳しいことに興味がある方は、「「老犬の認知症予防 今からしておくべきこと」石川先生のお勧め」もぜひ合わせてお読みになってください。
愛犬の視力や聴力がほぼなくなり、歩くことも難しくなってきたら、飼い主さんの目が届き、介護をしやすい場所を寝床にしてあげましょう。
老犬になっても、飼い主さんはおかあさんであり、おとうさんです。そばにいて安心していたいものです。
目が見えず耳が聞こえなくなって、最後の砦の嗅覚でさえ、老犬になると徐々に衰えてきます。飼い主さんが愛情を持ってフォローしてあげたいですね。
目がよく見えず耳が遠くなると、突然体に触れられるととても驚いてビクッと飛び上がることもあります。
それはそうですよね!老犬になってきたら、今までよりも意識して、自分がそばにいることを知らせてあげてから、いろいろなお世話をしてあげるくらいの気持ちが必要です。
もし粗相をするようになったら愛犬が横になる場所は、トイレシーツを敷き、(場合によってはオムツをして)その下には寝心地のいいマットをおきましょう。
寒暖の差に影響がないよう、気をつけてあげましょう。老犬になると体温調節もうまくいかないこともあり、寒さや暑さがこたえるようになります。
愛犬がほとんど寝たきりになると、予防したいのが床ずれです。老犬の骨が出っ張っているところが特に皮膚の摩擦ができやすい場所です。2−3時間おきにそうっと介助しながら起こしてあげて、可能な限り少し歩かせましょう。
筋肉を少しでも使うことで、血液やリンパの循環が良くなります。
歩行を助けるアシスタントバンドや床ずれ防止用の犬用マットもあります。完全に寝たきりになってしまったら、こうした犬用介護用品もたくさん出ていますので上手に活用してみましょう。
犬にも加齢により認知症になることがあります。特に柴犬などの日本犬に多いとされていますが洋犬でも認められます。
認知症の主な症状には次のようなものがあります。
特に老犬の認知症による夜鳴きは、近所迷惑が気になる、夜ゆっくり眠れないなど飼い主さんの負担も大きく、精神的なストレスになります。
愛犬に夜鳴きの症状が出た時は、早めに獣医さんに相談しましょう。
また詳しいことは、オリジナル記事「石川先生の老犬の夜鳴き〜試してみたい5つのこと」を合わせてお読みください。
仕事で一日中家を空ける飼い主さんには、寝たきりや認知症の老犬を世話しきれない場合もあるかもしれません。
家族や兄弟に頼める場合は、相談しましょう。また、老犬ホームや動物病院に入院させてもらうという選択肢もあります。
愛犬と離れるのは辛いと思いますが、飼い主さんがストレスで苦しむ前に、そして愛犬の最期に悔いを残さないよう、建設的に解決策を検討することをお勧めします。
愛犬の最期は一緒にいてあげて、看取りたい。飼い主さんの願いだと思います。
看取り方はいろいろな事情によって違うと思います。
どのような最後だったとしてもどうしても残った私たちは、もっとこうしてあげればよかった、ああしたらよかったといった思いをかかえてしまいがちです。
愛犬を失った悲しみと喪失感に苛まれるご家族も多いと思います。
一方で、いつまでもそのような思いにとらわれることは、先に旅だった愛犬は望んでいないはずです。
お別れすることはとても辛いですが、たくさんの感謝を込めて、ありがとう、大好きだったと伝えて旅立たせてあげたいものです。
先に旅立っても私達の心のなかにその犬はずっと一緒に生き続けているのですから。