犬の避妊去勢手術のメリット・デメリット | Life with My Dog 犬と暮らす
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犬の避妊去勢手術のメリット・デメリット

犬の避妊去勢。
我が家に愛犬を迎えてから直面する選択肢の一つ。「避妊する?」「去勢する?」
過ごす日々が経つにつれて愛着も湧き、可愛さでいっぱいになると、ふと思う。
「この子の子供を見てみたい。可愛いに違いない。」



と同時に、聞こえてくる先輩たちの声。

避妊去勢のメリット、デメリット。
「健康なのに避妊手術。するなんて。自然の摂理に反するよ!」とか反対に
「避妊去勢手術したほうがいい!するなら早いほうがいい」
と、周囲の犬先輩がたからアドバイスをいただくこともあります。

避妊去勢のメリットやデメリット以前に、最初から選択肢にない。
成犬になっても避妊・去勢をしないというご家族も少なくはないと思います。それでもふとこう思うご家族も多いのではないでしょうか。
「今からでも避妊・去勢手術をしたほうがいいかな」

そこでこの記事では、避妊・去勢手術のメリット・デメリットを、検討すべき材料を挙げて、一つ一つ考えてみたいと思います。

  1. 避妊去勢手術をしない理由
  2. 避妊去勢のメリット〜どんなリスクを減らすのか
  3. 避妊去勢手術をするなら、いつする?
  4. 避妊去勢手術のデメリット〜手術に伴うリスクの全て


1. 避妊・去勢手術をしない理由

愛犬に子犬を産ませる予定はないけれど、避妊去勢手術をしない。まずはその理由から考えたいと思います。(繁殖を検討する場合は、次の記事で取り上げる予定です)

愛犬に避妊去勢手術をしない理由は、大きくは以下の3つではないでしょうか。

A) 健康体なのに、麻酔をして体にメスをいれることへの抵抗とリスク。
B) 自然の摂理として納得できない、あるいは同じジェンダーとして(例えば「同じ男として受け入れがたい」のように)抵抗感を拭えない。
C) そもそもなぜお金をかけて手術をしないといけないのか理解できない。

避妊もしくは去勢手術をすることに対して自然の摂理や同じジェンダーとして抵抗感を拭えない、という気持ちは愛犬を家族の一員として大切に思うからでしょう。
確かに、「種の保存」という全ての生命誕生の摂理に立ち返ると、不自然にも断絶させてしまう人間の身勝手さを感じる、そんな気持ちは理解できます。生命体として、子孫を残せる体で生まれてきたのに人間の勝手で体を改造していいものか?

一方で「繁殖はしない」と決めている場合は、なぜその機能を残して置くのだろう?

という問いもあります。特に次の章で避妊・去勢をしない場合のリスクを述べますので、最終的には何のリスクをとるのか?という問題になると思います。

ある一定の距離内にヒート中の女の子がいると未去勢の男の子に大変なストレスがかかると言います。(次の章で詳しく述べます)
「繁殖しない」と決めていても愛犬のヒート中、何かの間違いでノーリードの男の子が接触して望まない子犬誕生となってしまったら、家族でお世話、子犬たちの貰い手を探す、など時間を取られます。これを毎日の生活環境の中で対応しきれるのでしょうか。

すると、このようなアクシデントを避けるため、愛犬のヒートが始まるたびに外へ出さないようにする。そのため旅行の計画もお散歩さえも予定が立てにくくなってきます。

また犬の女のコがヒート中のおしっこはオスを引きつける特有のにおい(フェロモン)がします。そのためおしっこの回数が増えることが多いです。トイレではない場所で粗相することもありえます。

また、愛犬がヒート後、妊娠していなくても偽妊娠状態になって乳腺が張ってくることはありませんか?自然におさまるとはいえ、その間愛犬はは子育て中の様な精神状態になるので神経過敏になりがちです。中にはヒート後の愛犬が毎回ぬいぐるみを守って困っている、というお話も聞いたことがあります。
いろいろと気を使ってあげなくてはならないわけですね。

「同じ男として・同じ女として、避妊・去勢手術などできない」という気持ちは、愛犬への愛ゆえの心情だと思います。その一方で、人間と犬は種が異なるということも、ぜひお考えになってみてください。

犬は野生動物ではなくて愛玩動物、つまり人間の手で何万年もかけて改良されて、できた種です。
そもそも、人間の勝手で何万年もかけて作り出した種である犬。この記事で挙げる避妊・去勢手術をするメリットとデメリットと一緒に、犬という、ヒトとは異なる種について「同じ男として・女として」がそっくり同じように当てはまるのかどうかを合わせて検討されることをお勧めします。

健康な体にメスをなぜ入れる?というA)やC)のような疑問については、獣医学的な視点から説明を、本サイトの監修をお願いしている獣医師の石川先生にお願いしたいと思います。

2.  避妊去勢のメリット〜どんなリスクを減らすのか

避妊することで低くできる病気のリスク<女のコの場合>

子宮蓄膿症
子宮に膿が溜まってしまう病気です。
これは救急疾患で、何もしないと命を失う怖い病気です。
犬はシーズン後も黄体が長く残り、子宮が細菌感染しやすい状態が長く続きます。そのため子供を産んだことがない中高年のメスはこの病気にかかるリスクが高いと言われています。
   
実際、私の患者様で避妊手術をしていない女のコに関しては、毎年の健康診断の項目にこの子宮蓄膿症にかかっていないかの確認は必須の項目になっています。子宮蓄膿症になった場合の最善の治療法は、避妊手術と同じ卵巣子宮摘出術です。ただし、すでに子宮蓄膿症にかかっている時の手術は当然ながら健康時よりリスクがかなり高くなります。
重度の子宮蓄膿症の場合、手術をしても助からないことさえあります。

乳腺腫瘍
避妊手術の病気の予防効果として一番よく知られているのがこの乳腺腫瘍の発生割合です。乳腺の腫瘍は犬の場合、良性腫瘍と悪性腫瘍(乳腺癌など)に分かれます。
この悪性腫瘍の発生の割合が避妊の手術の有無であきらかに差があることが明らかにされています。そのリスクを未避妊の犬を1とすると、初回発情前に手術をするとなんとリスクは0.005まで減ります。つまり避妊手術をしていないと200倍もリスクが高まるということです。 
1回目の発情以降に手術をした場合は125倍、2回目以降でも約3.8倍、無視できない数字ですね。

さらに若い時ではなく中年齢になってからの避妊手術では、悪性腫瘍の発生リスクは下げられませんが、良性腫瘍の発生リスクは下げられるという報告もあります。

卵巣の疾患
詳細なデータはないのですが、高齢になると卵巣の疾患が増えてきます。犬は人のような閉経はないと言われていますが、高齢になると発情が来なくなることが多いです。これは卵巣の機能が衰えたり卵巣の疾患が増えてくるためだと思われます。避妊手術をすればそのリスクは当然抑えられます。

去勢することで低くできる病気のリスク<男のコの場合>

前立腺肥大
高齢になると排尿や排便がうまくいかなくなってくることがあります。この原因がオスの場合前立腺肥大であることが多々あります。
これは精巣から分泌されるホルモンが高齢になってアンバランスになり、前立腺がその影響で肥大してしまうことから起こります。前立腺が大きくなっておしっこの道が狭くなったり腸を圧迫するからです。大したことがないと思いがちですが、排泄がうまくいかないことは同じ生活空間に暮らすご家族にとって大問題です。去勢手術は精巣を取ってしまうのでその予防になるわけです。

犬にかかるストレス
私は獣医師ですが避妊や去勢をお勧めする第一の理由は、ここで述べた病気のリスクよりも犬にかかる精神的なストレスを無視できないからです。

手術をしていない女のコの愛犬さんと暮らしている方はお気づきかと思いますが、ヒート中はいつもと違った行動を取りがちです。犬の本能に従ってオスを迎える準備中の体のせいで、落ち着かなかったり食欲が不定になったりする犬がいます。

本来野生であれば自然に交配する方向に進むのでしょうが、家庭犬である限りそれはかないません。
それはやっぱりストレスを生むと思います。
では例えば犬たちを交配させてあげればストレスはないかと言えばそうとも言いかねます。

野生の世界ではメスがオスを選ぶことが多いです。でも人間と暮らしている犬には選択権はありません。自分で男のコを選ぶことはかなわないから、お婿さんに連れてこられた男のコを女のコが嫌がるというのはよく聞く話です。
こんなふうに、犬は人間と暮らし始めてから、ヒートに関する事は悲しいことにストレスに変わってしまうことが多々あるようです。

うちの愛犬は男のコだから関係ないのでは?と思われるかもしませんが、そんなことはありません。
犬の男のコはヒート中の女のコの匂いをかぐと発情します。

しゃにむにそのその女のコのそばに行きたい!と本能が叫びます。

犬は鼻が効くので半径2km以内にヒート中のにおいがわかると言われています。
でも!本能が叫んでいるのに女のコのそばに行くことができない!
そのストレスは相当なものだ、と思い知らされたエピソードをご紹介しましょう。

以前私のしつけ方教室にとてもお行儀のよい、皆に愛されている男のコのワンコさんがいました。彼は飼い主さんの考えで去勢手術をしていませんでした。
飼い主さんとの絆はバッチリできていて、どんなコマンドにもすぐに反応するとてもかっこよい犬でした。…が、

ある日様子がおかしかったのです。
落ち着き無く飼い主さんの言葉にも上の空。すぐそばにはいなかったのですが、ヒート中の女のコのにおいがしていたようなのです。
いつものかっこいい彼が本能に呼ばれる、でも飼い主さんとの絆もあるし、でも行きたいし、でも行けないし… 
滅茶苦茶でした。見ていて本当に可哀想になりました。

それ以来、私は本気で男のコのワンコさんの去勢手術を勧めるようになりました。病気の予防というより、去勢手術をしていないばかりにストレスで滅茶苦茶になってしまうのが、本当に見ていられないほど可哀想だったからです。」

ヒート中の女のコがそばにいるかどうか、私たち「ヒト」にはわからないですね。
愛犬が突然攻撃性が高くなったような気がするとき、もしかしたら原因は未去勢だから、ヒート中の女の子に反応している…そんなことがあるのかもしれません。



3.  避妊去勢手術をするなら、いつする?

愛犬はもう大きくなってしまった。避妊去勢手術はもう手遅れではないだろうか?そう悩むご家族も多いかと思います。
そこで、避妊去勢手術を1歳未満の子犬と成犬の場合という、年齢の切り口から考えたいと思います。
いずれの場合も、決めるまでの期限があると思います。子犬の場合は、いつ避妊去勢手術をするのかを成熟段階に基づいてタイミングを考える。
また成犬の場合でも、あまりシニアになる前に手術という期限が考えられます。

子犬の場合
避妊手術はヒート前に、去勢は片足上げておしっこする前にしましょう!…と聞いたことがありませんか?
避妊や去勢手術を子犬のうちに済ませてしまえば、犬の過度な攻撃性が治る!?、とも言います。それは本当でしょうか?
ベストなタイミングとはいつなのか。しっかり理解をしておきましょう。
ここでまた獣医師の石川先生にご説明をお願いします。

先程病気のお話で書きましたように、避妊手術は生後6ヶ月から最初のヒート前までに済ましてあげると、乳腺の腫瘍のリスクがほとんど無くなります。
避妊手術の時期に関しては色々な考えがありますが、生後6ヶ月というのは体がほとんど成犬と同じになる時期ですのでこの時期以降に手術を勧める獣医師が多いと思います。
私はヒート中のストレスなどを考えると、生後6ヶ月から1~2歳までには手術してあげるとよいと思います。

男のコの場合6ヶ月~1才になる前、足を上げておしっこをかけるようになる前に去勢手術をすると、子犬の時のようにずっと座っておしっこをするようになる犬が多いです。そのほうがトイレの管理がしやすいかもしれません。1~2歳までに去勢手術を済ませれば、マーキングの回数が減る・他の犬とのケンカが減るともいわれています。ただし去勢したからといって、マーキングやケンカが全く無くなるというわけではありません。

成犬の場合
では成犬になってしまったら避妊去勢手術はもう遅いかというと、そんな事はありません。
シニアになって麻酔に対するリスクが高くなる前に、また女のコ子宮蓄膿症になるリスクが高くなる前に健康状態がよい時に手術してあげるほうがよいでしょう。
ただし、ヒート中とその前後はホルモンの影響で血が止まりにくくなるため手術は避けます。 避妊手術はヒートとヒートの間の時期が安心です。

避妊去勢手術で攻撃性が無くなる?
よくあるご質問の中で「子犬のうちに手術を済ませてしまうと過度の攻撃性が出ない」は本当ですか?
とお伺いします。本当なのかというとそれはそうとは言い切れません。なぜなら、攻撃に関しては性格・学習などいろいろな要素が絡んでくるからです。メスの場合、手術をすることによってかえって攻撃性が出るという報告もあります。
犬の性格は手術の有無でほとんど変わらない、と思っていただけるとよいでしょう。
(犬の攻撃性などの問題行動についてもっと詳しく読みたい方は、「深刻な問題行動とは」「咬みつく」へ!)

さて、中には成犬になったら避妊や去勢手術をすることで、子犬時代であれば享受できた多くのメリットはほとんど無くなるのではないか、と思い始めるご家族もおられるかもしれませんね。

でも、どうぞ忘れないでください。

避妊去勢手術の最大の理由は、
「あなたの愛犬のストレスを少しでも減らしてあげたいから」
です。

これは成犬になっても変わりません。
愛犬のストレスを減らしてあげる、そのための避妊去勢手術です。」

愛犬を思うならば、ストレスまで考えてみることが大切なのですね。
そのために健康な犬の体にメスを入れる… まだまだ考えたいことが続きます。
では、その外科手術をすることに伴うリスクについて、次は考えてみたいと思います。


4.  避妊去勢手術のデメリット〜手術に伴うリスクの全て
ここまでは避妊・去勢をどちらかというと奨励する方向性で進んで来ました。そこで、しっかりとマイナス面。つまり避妊去勢手術という外科手術に伴うリスクについてもよく理解をしましょう。

避妊手術中にワンコさんが死んでしまった!という事故を聞いたことがあります。また、特に短頭種の場合は、避妊・去勢に関わらず手術のための麻酔が原因で命を落とす、そんな事故も聞いたことがあります。

子犬といっても、何ヶ月から避妊・去勢手術をしていいの?
あるいは何が目安で判断できるのでしょう。

これは成犬も同じです。
老犬になっても避妊・去勢手術をしたほうがいいのでしょうか。

獣医さんが避妊・去勢手術をするにはリスクが高すぎると判断するのは、どのような場合なのでしょうか。さらに石川先生の解説をお願いしていきましょう。

手術のリスクは麻酔のリスク
「手術をするリスクとは麻酔をかけることのリスクとほぼ同じことですので麻酔に関するお話になると思います。

獣医師がする手術の中で避妊・去勢手術は一般的に行われる手術です。日常的に行われる手術と言っていいでしょう。
でも「健康な犬をお預かりして手術して問題なくお返しする」からこそ、責任の重い手術なのです。健康な動物だからこそ細心の注意を払って獣医師は麻酔をかけ手術にあたっています。
とはいえ、健康な動物に麻酔をかける時全くリスクがないわけではありません。そのリスクはどのくらいなのでしょうか。

麻酔にはASA分類と言われている基準があります。「アメリカ麻酔科学会」の頭文字で、人医療の麻酔科の評価基準を獣医用にアレンジしたものです。それは、クラス1(健康な状態)からクラス5(瀕死状態)までの5段階です。

ご覧になってわかるようにクラスが上がっていくと当然リスクが高くなってきます。
避妊去勢手術はクラス1で行われる手術で、1とはリスクはほとんど0に近いという報告があります。

0に近いことと0だということは違います。健康だと思っても何らかの疾患が隠れていることもあります。体質的なもので検査ではわからない要素もあります。麻酔の事故はどんなに頑張ったとしても0にはなりません。それを少しでも無くすため、麻酔をかける前(手術を受ける前)に

獣医師は動物を評価し術前検査を行い、リスクが高まる病気が隠れていないか、確認に最善を尽くしています。

次に、健康ではあるけれど、麻酔のリスクが上がってしまう場合をあげさせていただきます。



「短頭種~鼻ぺちゃさん」の犬たち
パグ・ボストンテリア・シーズー・フレンチブルドッグ・ペギニーズなどを短頭種といいます。
この犬種の犬たちは鼻の穴が小さい・喉の奥のベロのようなもの(軟口蓋)がとても長い・気管の穴が狭いという特徴のため、通常の状態でも息がしにくい→ 呼吸障害を引き起こしやすい犬種です。
従って麻酔のリスクはクラス2~3にまで上がってしまいます。獣医師の立場としても神経を使う手術になります。

肥満の犬
肥満の犬は、運動するのが苦手なコが多いですよね。これは運動するとすぐに疲れたり息が苦しくなるからです。
つまり呼吸がうまくいかなくて酸素を体に取り入れる力が弱ってしまっているからです。当然麻酔に対するリスクは上がってきます。
その他、肥満によって他の臓器に悪い影響を与えていて、病気予備軍ともいえる状態です。
これが麻酔をかけることで引き金を引いてしまう恐れがあります。さらに肝臓が麻酔を解毒する力も衰えてきていて麻酔からの覚めも遅くなります。
病気ではないのですがリスクが高くなることを、ご理解いただけると思います。

若齢の犬
獣医学では生後3ヶ月未満の犬を「若齢の動物(人でいう小児)」と呼びます。
なぜ3ヶ月で区切るかというと、生後3ヶ月未満の犬は体のいろいろな機能が発達途中だからです。
麻酔のリスクに影響を及ぼす呼吸機能・心臓の機能・体温調節機能・解毒機能などが未発達なので当然リスクが高まってくるわけです。
だからどんなに若くても生後3ヶ月を越してから、そして生殖器を含め体の作りが大人になった生後6ヶ月以上で避妊去勢手術をお勧めしているわけです。

シニアの犬
麻酔を考えた時、シニアの一つの基準として「7才以上(大型犬では6才以上)」を一つの区切りとしています。これは体の予備能力が少なくなってくる年齢がこのくらいからだからです。

ASA分類でもクラス1ではなくクラス2の扱いになります。つまりリスクが高まってくるわけです。
とはいえクラス2のリスク上昇は1/1000くらいという報告があります。1,000頭の犬のうち、1頭に影響が現れるくらいです。思ったより低いですよね。

ただしシニアになって心臓の病気になっていたり、腎臓の機能が衰えてきていたらリスクは当然あがります。ASAクラス4にあたり、5頭のうち1頭に影響が出るというデータもあります。

避妊・去勢手術はできれば7歳までに済ませてあげたいですね。」



避妊去勢手術後の入院は必要?不要?
また、動物病院によっては入院する場合、その日に帰ってこれてしまう場合。まちまちなようです。入院は不要なのではないですか?または、その日に帰されるなんて、安易なのではないでしょうか。

「これはその病院の院長先生の考え方によると思います。どうしたら一番その犬にとってのストレスが小さいか。そして飼い主様の負担が少ないか。

犬にしてみると、手術が終わればいつか家に帰れるということはわかりません。
入院して不安の中で過すより、自宅で安心して療養したほうが治りも早いです。

とはいえ、麻酔をかけて開腹手術をした犬が当日帰ってきて何かあった時にどうしよう…という飼い主様の不安もあると思います。その両天秤で、入院日数や日帰りにするかが決まってくるわけです。

去勢手術の場合はその日のうちに退院することが多いかと思います。
避妊手術の場合はお腹を開ける大手術なわけですから予後をきちんと見極める必要もあります。そのため多くの病院では入院になる場合が多いです。
結局は犬の性格と飼い主様のご希望、その犬の状態や術後の回復の様子などで決まってくる、ケースバイケースと言わざるを得ません。ご不安な場合はかかりつけの獣医さんとよく話し合っていただけるとよいでしょう。」

確かに、犬はいつ帰れるか分からないですよね。
私たち家族の心配が、取り越し苦労ではないと分かれば安全な範囲で家に連れて帰ってきた方が良さそうです!!
そうすると、安心して避妊・去勢手術をお願いできる動物病院とはまず、事前にリスクについて説明をしてくれる獣医さん、ということになりますね。

以上で、避妊去勢手術のメリット・デメリットをまとめました。
繁殖を検討したいご家族に向けてはこの次のオリジナル記事でまとめる予定です。

もし、愛犬の繁殖をお考えではない場合は、子犬を産ませる予定がないけれども避妊手術をしないことにするのかどうか。
ぜひご家族と話し合ってください。愛犬が終生健康でストレスの少ない日々を送ることができるには、どの選択がいいのかどうかをお決めになるためこの記事が助けになれば、とても嬉しく思います。

本文:「犬と暮らす」武田裕美子

獣医学記述と監修:獣医師 石川安津子


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