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石川先生の「老犬の夜鳴き~試してみたい5つのこと」

家族の一員として犬と暮らすのが常識となった今、犬の寿命も以前と比べて伸びていて、そのため様々な問題を感じる飼い主さんも多いかと思います。
シニア~超高齢の犬たちは、思いもよらない事で飼い主さんを悩ませます。その代表的なものの一つが、夜通し止まることがない「老犬の夜鳴き」
長年一緒に暮らしてきた愛犬が夜通し鳴き続けて夜も眠れない。思わずイラっとしてしまうことも・・。そしてそう思ってしまうことで益々自分を責めたりしがちです。
シニア犬との暮らしについては、ネットでも様々な情報を見つけることができます。原因やそれに対しての対処法もわかりやすく述べられています。
そういったことをふまえ もう少し踏み込んだ視点で夜鳴きについて、獣医師として述べさせていただきます。

5つのチェックポイント・試してみたいこと

あなたの愛犬はかなりシニアなのか?

ます最初にかなり高齢であることが原因なのかどうかを押さえましょう。 あなたの愛犬は人間で言えば何歳くらいですか? 。

愛犬が例えば人間で言えば60~70代の元気なシニアなのか、90代以上のご高齢なのか。このチェックポイントから犬を見てあげることによって、夜鳴きしている原因を絞ることができるかもしれません。

犬のサイズその他で人と犬の年齢換算はいろいろ違ってくるのですが、大雑把に言って ミニチュアダックスの12歳では人の60代前半(元気なシニア) 柴犬の15歳では人の90歳(ご高齢)・・そんなふうにイメージしてみてください。


夜鳴きを続ける原因を絞ってみよう

シニア犬の夜鳴きの原因として
 ① 認知症など脳や精神の疾患
 ② 体の痛みによるもの
 ③ 視覚・聴覚などの衰えからくる不安
 ④ 食餌・排泄の要求
 ⑤ 寝たきりによる生活リズムのずれ 体内時計のずれ
の5つがよく挙げられます。

★元気なシニア世代
 ③や④のお腹が空いた・トイレに行きたい・不安からかまって欲しいなど何か要求があって吠え続けることが多い

★ご高齢世代
 ①②⑤の体の痛みの表現・昼夜の逆転など体内時計の狂い・認知症の症状といった、具体的な原因をつかみにくい事例が多い

あなたの愛犬はどうでしょう。
なんとなく原因がつかめそうですか。


ベストは…


ならばどうすればいいのか!?
正論は かかりつけのお医者さんにご相談すること。

・・・それはそうなんですが、なかなか動物病院に足を運ぶ第1歩が踏み出せない方がこうやってネットで情報を見ているのだろうとも思っています。 自分でできることからやってみる→それでもダメなら病院へ、でいいじゃない! これがなぜ遠回りな問題解決法なのでしょうか。それは… 夜鳴きの原因の①認知症②体の痛み(慢性痛)に関しては、 飼い主さんでは判断しきれないことが多いのです!

特にご高齢のワンちゃんはまず動物病院にご相談することをお勧めします。
喋ることができない彼らの痛みやその他の病気など原因を見つけてあげることができるかもしれません。


要求に答えてあげよう

愛犬が若い頃は「夜、要求吠えしていたら無視してください!」と言われることが多いと思います。行動学上も「吠える→飼い主さんがくる→益々吠える」 という正の強化をしちゃうことになります。

でも高齢犬の要求は一概にすべてこれに当てはまるとは言い切れません。認知症を発症するほどの犬であれば行動学の法則は成り立ちません。

行動→よいことが起きる→益々その行動を行う のではなく
行動→よいことが起こった・悪いことが起こったの判断すらできないんです。

不快に思っていること
  ・・・食べたい・トイレに行きたい・体の向きを変えたい・あなたのそばにいたい
を一通り叶えてあげることは必要ですらあります。

不快に思っていることがなんだかわからない時は、本能からくる欲求を満たすことから始めるとよいでしょう。
食べること・排泄・痛みから逃れること・寒い暑い・動きたい

ただし元気なシニア世代はこれにあてはまりません!
「吠える→飼い主さんがくる→益々吠える」の悪循環に陥らないように注意してください。


認知症への対応

認知症は脳の細胞が変化してしまう病気です。悲しいことですがあなたの愛犬が認知症の場合、今までの信頼関係をそのまま当てはめることはむずかしいことが多いです。 愛犬は正しい反応~いろいろなことを認知することができなくなってきます。

そして「意味もなく夜なきつづけること~夜鳴き」もそのひとつです。

あんないい子だったのに・・・という思いがあなたを苦しめるかもしれません。

認知症は病気なのだと思ってあげてください。
認知症については、多くの症状を詳しく述べているサイトが別途ありますのでご紹介いたします。
詳しくはこちら>>>

認知症からくる夜鳴きは 昼夜逆転と一緒である場合が多いようです。昼はよく寝ていて夜寝ずに一本調子で鳴き続ける・・・。

認知症からくる場合、この「一本調子で単調に鳴き続ける」事が判断の助けになると思います。感情のない鳴き方です。

多くの場合何故か飼い主さんが眠りにつく時間帯から早朝まで、一番鳴いてほしくない時間に起こります。鳴き続ける時間はそれぞれで違いますし、 一旦止んだと思ってもまたしばらくすると鳴き出すということを繰り返すこともあります。

※ 短時間鳴く場合は、悲鳴のような鳴き方をすることもあります。これも認知症の特徴です。

対応としては生活リズムを整えることから始めます。

昼は短時間でも数回散歩に連れ出す、動けない犬はマッサージや体の向きを変えるなど体を動かす助けを数時間おきにやってあげるなど良い刺激を与えてあげます。
逆に夜は暗くして静かな場所で過ごさせます。

この方法でなんとか夜鳴きから抜け出せることもありますが、中には何をしても夜鳴きが続くケースもあります。

飼い主さんが心労のあまり健康を害してしまうこともあります。そこまで頑張る前に、かかりつけの獣医さんにご相談することを強くお勧めします。

なぜ「かかりつけ」を強調するかというと、
獣医師の立場から言えば、あまり馴染みのない患者さんから突然「夜鳴きするので睡眠薬ください」と言われてすぐに処方する事はほとんどありません。 かかりつけの獣医さんがいることはこういう場合にもとても安心です。

よく知っている患者さんの場合、ご相談を受けその犬の年令や今までかかった病気・現在の健康状態など様々なことを加味し、また飼い主様の心情や健康状態も慮ることができます。 そして薬の助けが必要だと判断した時初めて処方することになります。

ではどんな薬をだすのでしょうか。
1,抗不安薬のような犬にも承認された動物薬を使う場合
2,睡眠導入剤のような人間の薬を犬に使う場合

1の場合は効果が現れるまで少なくとも2週間以上投薬を続ける必要があります。不安感をなくして夜寝てもらう事を目的とします。

2の場合はいわゆる睡眠薬ですからすぐに効果が出ますが、よく効く犬と薬を多くしないと効かない犬など個体差が大きいのがむずかしいところです。 また効果が一定ではなく必要量が増えてしまったり、続けて使う場合副作用の心配もあります。

獣医師の立場からはそのような事をざっくばらんにご相談いただいて、よく話し合って決めるのが一番だと思っております。

薬の使用に抵抗のある方は認知症のためのサプリメントをお勧めします。 夜鳴きに関してはサプリメントで良い感触を得られることがあります。

サプリメントはあくまで補助ですので「夜鳴きに効きます」のように効能をうたってはいけないことになっています。

最終手段として、数日動物病院に入院させるという選択肢もあります。毎晩ぐっすり眠ることができず心労で健康を害す前に、その選択をするのも必要なことだと思っています。
数日ぐっすり眠ることで飼い主さんが元気を取り戻すことも認知症からくる夜鳴きの対処法のひとつです。

以上5つのことをあげてみました。
あなたとあなたの愛犬の問題が少しでもよい方向に向かうことを願ってやみません。

そして 最後に・・ 現在、認知症になっていない元気なシニアの場合 今から始めるとその予防になることもいろいろな情報としてあげられています。

夜鳴きに悩むようにならないため、次回はそのことについてご紹介したいと思います。


本文:獣医師 石川安津子




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