本当に信頼できる犬の情報は獣医師監修 

Life with My Dog 犬と暮らす

犬の吠える悩みを解決したい 〜テリトリー意識にアプローチ 〜

前章「犬の吠える悩みを解決したい〜原因編〜」ではそもそもの犬が吠える原因から悩みを解決できるかもしれないとご紹介しました。

続いて、いよいよ「犬の吠える」アプローチ編を臨床経験30年のベテラン獣医師、石川先生が詳しく解説されます。

まず質問です。次のうち、どんな時にあなたの愛犬は吠えるのでしょうか。
8番までは自宅で吠える、9と10は外出先です。

1. インターホンの音(他人が自宅に近づく気配)で吠える
2. 来客が家に滞在中に吠え続ける
3. 家の前の道路を他の犬が通過する時吠え始める
4. 家の外で物音や気配がした時吠え始める
5. 家族が出かける時、留守中、帰宅した時吠える
6. ご飯の時間が近くなると吠え始める
7. ゲージやクレートに入れた時吠え続ける
8. 人の食事の時間吠え続ける
9. 夜中に長いこといつまでも吠え続ける
10. 上記以外のとき、自宅で吠える
11. 散歩中ほかの犬や人と出会うと吠える
12. カフェや人の多い場所で吠える

次に、前回「犬の吠える悩みを解決したい 〜原因編〜」で解説した原因別のグループに分けてみます。

テリトリー意識の代表格、インターホンで吠える!についてはこの後でじっくり解説します。

5の場合は、分離不安に関するページ「お留守番ができない」 「犬の困った!助けて!”分離不安”」をごらんください。

9で老犬の場合は、「老犬の夜鳴き 試してみた5つのこと 石川先生からアドバイス」をごらんください。

10の場合は、どんな時に吠えるのかをよく観察してみてください。
それでもなぜ吠えるのか分からない場合は、動物病院に連れて行くことをお勧めします。なぜなら、もしかしたら痛みなど疾病などが原因で吠えている可能性もあるからです。

それ以外の番号は、次回「犬の吠える悩みを解決したい 〜アプローチ編 ② 〜」で解説します。

どうやって吠えるのをやめさせるか~考え方
個々のアプローチに入る前に、吠えに関する共通する考え方をあげておきます。

A) 吠える原因に対してアプローチする
 ・原因になれさせる
 ・原因を楽しいことにしてしまう
B) 吠えている行動に対してアプローチする
 ・吠える代わりの行動をさせることで吠えることができない状態にする
C) 吠えた結果についてアプローチする

個別の対応はこのA~Cの中で適切なものを使っていきます。

テリトリー意識がきっかけの吠え

インターホンの音で吠える。
最も多いのがこの玄関のピンポーンで吠えてしまうことの相談です。
ほとんどの犬はインターホンが鳴ると、飼い主さんがすばやく対応するため動くこと、そしてその後に外から人が来る事をあっという間に覚えます。

あなたは普段、ドアホンが鳴るととたんに愛犬が吠え始めた時、どのような対応をしていますか?

「こら!吠えない!」って言いながらインターホンに向かう。
吠え声で受け答えもままならない。
宅急便だ!と玄関に走ると犬も一緒に大声で吠えながらついてくる。
吠え続ける犬を抱いて扉を開けハンコを押し、その間も吠え続ける愛犬。

「なんで毎回こんなこと繰り返さなきゃいけないの!」
と、獣医師をやっていてよく耳にします。

なんとかしたいと思っても、吠えはひどくなっていくばかり。なぜでしょうか?

それは吠えた時に「やってはいけないこと」を無意識にしちゃっているからです。

吠えた時の5つ禁じ手

その1 犬が吠えると負けじと大声で犬に怒ること
その2 犬が吠えると「おすわり」「まて」などできないのに連呼すること
その3 インターホンが鳴ると何をおいても急いで対応すること
その4 犬を抱っこして来客・配達人に対応すること
その5 すべて終わってからも犬に怒り続けること

この5つのどれかをほとんどの方がやっていますよね。

どうしてやってはいけないのでしょうか。

<禁じ手その1> 犬が吠えると負けじと大声で犬を怒ること
犬は、飼い主さんが「一緒に興奮してよそ者を追い払おうとしている!」と誤解しがちです。オイラも吠えて加勢するぜ!となりますので、よもや吠えるから自分が怒られてなどと夢にも思っていません。

<禁じ手その2> 犬が吠えると「おすわり」「待て」などできないのに連呼すること
吠えていると、犬はどんどん頭が真っ白状態になります。当然「おすわり」や「待て」など聞こえていないし、聞こえたとしてもやるはずがありません。おすわりと言われてもおすわりをしない経験を繰り返しさせてしまいます!百害あって一利なしです。

<禁じ手その3> インターホンが鳴ると何をおいても急いで対応すること
飼い主さんの思いがけない突然な動きは、犬を驚かせます。臆病な犬はそれでびっくりしてしまい吠えだしますし、そうでない犬も急な動きに興奮して吠えだすことが多いです。
「こんなに急に動くのは緊急事態に違いない!大変だ大変だ!!」と吠えるわけです。

<禁じ手その4> 犬を抱っこして来客・配達人に対応すること
小さな犬の場合、人間に抱かれて目線が上がると強気になると言われています。すなわち犬にしてみると「さあ、強くなってよそ者を一緒に追いはらおう」と飼い主さんが吠える応援をしてくれていると思うわけです。よそ者を追い払おうとして、ますます吠えるのは言うまでもありません。

<禁じ手その5> すべて終わってからも犬に怒り続けること
犬はその瞬間を生きる生き物です。
終わったことを叱られてもなんで飼い主さんが怒っているか理解できません。 自分が吠えたことなどすっかり忘れて、ただ怒っている・嫌な雰囲気は感じ取っています。
「ピンポーンが鳴る→最後は嫌な雰囲気になる」という方程式だけ感じ取ります。そのためドアホンの音に反応してこれは嫌なことがおこる前兆だ!と益々吠える悪循環になってしまうことがあります。


インターホンで吠えるを解決する

それではインターホンの音に吠える犬をどうやって対応すればよいのでしょうか。
私が長年ご相談を受けてきて、一番やりやすいかなと思うのは「ばらまき法」です。
※この方法は前述の A) 吠える原因をよいことにしてしまう、B) 吠える事ができない状態にしてしまう、にあたります。

ピンポーンと鳴ったら、吠える前にフードやおやつをたくさん床にばらまき、犬がそれを食べている間に対応する方法です。
これをきちんと応用すれば、ピンポーン→犬がケージに入っておりこうに待っている…ということも可能です。
夢のようですね。

【ばらまき法】

準備:いつでもすぐに対応できる場所にドッグフードや小さなおやつを準備しておいておきます。
実行:「ピンポーン」と鳴ったら犬の前にこのフード・おやつをばらまきます。そして犬がそれを食べている間に対応します。
食べるよりも吠えることを選ぶようでしたら、ばらまく食べ物の魅力が足りません。もっと犬の好きなものに変えましょう。


この方法を更にステップアップさせるには、犬の居てほしい場所(クレート・マットの上など)の方向にばらまき、最終的にはクレートなどにばらまくようにします。この頃には「ピンポーン」と鳴ったら犬はクレートやマットの方に向かっているはずです。

こうして、「ピンポーン」は怪しいものが来る音ではなく美味しいものがもらえる音に変えてしまうわけです。

!普段は仕事で家にいないし!という方。
休日にピンポーンを鳴らす役とばらまく役に分かれて、集中的に教えてしまうという手もあります。

吠えるを解決する「ばらまき法」。やり方は簡単ですが、ここにも落とし穴がたくさんあります。

私が口頭でお伝えしても「できました!」とおっしゃる飼い主さんはほとんどいません。
お伝えした後に実際にやっていただき、やり方のフォローが必要になってくる場合がほとんどです。

うまくいかなかったケースから成功した例:


Hさん(犬種:ヨーキー 3才のメス)
普段も愛犬とおうちにいらっしゃるAさん。ばらまけども犬は吠える、吠える。
実は、ばらまくタイミングが悪く、犬が吠え始めてしまってからフードを取りに行きばらまいていらっしゃいました。その頃には犬はもう興奮状態。吠えるのに忙しくフードに気づかないですし、いつも食べているドッグフードは魅力的でもなかった。

そこで、ばらまくものを美味しいおやつに変えることと、いつインターホンがなってもすぐに対応できるように家のあちこちにおやつを置いておくことをお願いしました。
またタイミングが命!吠える前にばらまく!ということも理解していただきました。

以上の2点を徹底された Hさん。その後徐々に上手くいくようになり、今ではインターホンが鳴っても美味しいものが食べれる!と認識して吠えることがなくなったそうです。

 

Tさん(犬種:トイ・プードル  1才のオス
ご家族を咬むということでご相談があったワンちゃんですが、インターホンにも吠えていました。
ワンちゃんを拝見するとビビリさんであることがわかってきました。つまり怖がりでピンポーンの音に対して恐怖感を持っていて吠える。そして、どんなフードも怖いからたべられなかったのです。

そこで、怖がりさんへの対応を進めていったところインターホンが鳴っても吠えることはなくなりました。これはばらまき法が必要なかったケースです。

このように、吠えるの解決にもその飼い主さんとその犬の性格に合わせた細かい微調整が必要になってきます。

このアプローチを試してみてうまくいかなかった場合は、微調整が必要ですので、このサイトの「犬のプロに相談」からプロの方に連絡を取るのも一つの手ですね。
自分で試行錯誤しているより、吠えるの解決も経験あるプロの助けを借りた方が早いです!

インターホンの他「家の外の気配、他の犬で吠える」の場合は、「犬の吠える悩みを解決したい 〜原因編〜」でご紹介した、犬のいる環境を変えることを検討してみてください。

「家族の食事中吠える」「ゲージに入れると吠える」などの要求吠えは、次回「犬の吠える悩みを解決したい 〜アプローチ編②〜」で詳しく解説します。

 

本文:獣医師 石川安津子


他の人気記事を読む:
「犬に咬まれた!その怪我は見過ごせない深刻さ」

「犬が雷を怖がる」




Copyright © Life with My Dog 犬と暮らす